【筋トレ後の意識障害症例、スポーツ時の水分補給の温度など】スポーツに関する論文を2つご紹介します!

 
Karasu
内科とスポーツの融合を目指す「NI×CE」のページです。 この記事を読んで頂いて誠にありがとうございます。
 

今回は、最近読んだ、スポーツに関する論文を2つご紹介したいと思います。

①筋トレをして自宅に帰った後、意識障害の状態となった症例

②水分補給の水の温度で、胃の運動の状態、また栄養の摂取状態が変わるのか

①は命にかかわるような事例

②はスポーツ選手の食事摂取量にも関連するような研究

となっています。

どちらも日本語で読みやすいものですが、簡潔にまとめてみたいと思います。

 

筋トレ後の意識障害

 

今回の症例、若い方をイメージされた方もいらっしゃるかもしれませんが、75歳の男性で基礎疾患がある方です。

まとめますと
スポーツジムで合計2時間ほど、自転車トレーニングと筋トレを行い帰宅、自宅に帰ってくると、歩行障害、構音障害を認め、その後意識障害、全身性の痙攣も出現しました。

いったいこの方にはどのようなことが起きていたのでしょうか。

 

診断、そして原因は?→基礎疾患が今回の病態の原因だった。

 

この75歳の男性ですが、基礎疾患がある状態でトレーニングを行ったことが原因と考えられました。

診断:脳空気塞栓症

脳梗塞は、形成された血栓が脳の血管につまることで発症することが多いですが、空気塞栓症は、血栓ではなく、空気が血管を詰まらせてしまいます。

ではなぜ、血管を詰まらせるほどの空気が血管内にはいりこんだのでしょうか。

この男性は、基礎疾患として『間質性肺炎』という病気をもっており、一般のかたよりも肺が弱い状態でした。

(間質性肺炎に関してはこちらから)

間質性肺炎によって肺の壁が脆弱になる→トレーニング中にいきむことで肺の内圧が上昇→肺が破裂し縦隔気腫を起こす→上大静脈から空気が流入し脳空気塞栓を起こす

これが大まかな今回の病気の機序となっています。

血栓であろうと空気であろうと「血流が影響を受ける」という部分は共通していますので、脳梗塞と同じような症状が出現しました。

この方は約2か月後も左片麻痺が残存してしまったそうです。

今回のケースは頻繁に起こることではなく、稀なケースと考えられます。しかしこういったことも起こりうるんだと知って頂き、何かおかしいと感じた場合にはすぐに医療機関への受診を考慮、患者さんへ催促して頂きたいと思います。

 

水分補給の温度、食事への影響

 

続いては、水分補給の温度に関する論文をご紹介します。

この論文のタイトルは

「運動後の胃運動および食欲向上に効果的な飲料温度の検討」

となっている通り、運動後の飲水温度によって、胃の運動や、食欲向上効果がみられるか、ということについて検討されています。

このブログでまとめるには、少し煩雑な内容となりますので、本当にざっくりとご紹介したいと思います。

 
この論文では、運動後に2℃のタンパク質含有飲料と60℃のタンパク質含有飲料を飲んだ際に、胃の動きがどうなるか、摂取カロリーが増加するか、ということについて検討されています。この検討では、運動後に60℃のタンパク質含有飲料を飲んだ群が、胃運動が亢進し、食事摂取量も増加しました。

冷たい水の方が吸収率が高く、暑い日には推奨されているかもしれませんが、それが原因で、様々な腹部症状を訴える選手も少なからずいらっしゃる印象です。

何らかのお腹の症状で困っている場合には、練習中は冷たい水でもいいかもしれませんが、冷たい水の後に少し温かい水を飲んでみたり、練習後のプロテインは少し暖かくしてみたり、そういった工夫も取り入れてみてもいいかもしれません。

 

最後に

 

今回は、2つの論文をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

様々な病態を理解頂き、またアスリートの症状に対して解決策が提示できるよう、今後も医学に関する内容を積極的に配信していきます。