この記事を読んで頂いて誠にありがとうございます。
今回は高地トレーニングを行った際に行われた研究をご紹介します。
ちなみに今回はこちらの論文を参考にさせて頂いています。

ではここからまとめていきます。
もくじ
今回の論文における高地トレーニングについて
まず今回の論文に書かれていた、高地トレーニングの内容をまとめていきます。
日本では従来、高地に滞在し高地でトレーニングを行う「living high-training high(LH-TH)」といった手法がとられてきました。
しかし高地に滞在し高地でトレーニングを行うと、体への負荷が強く疲労が蓄積しやすいこと、貧血などによる体調不良を招きやすいこと、高強度のトレーニングが行いづらいことなどが指摘され、米国を中心に現在では違ったトレーニング手法がとられており、今回もその手法によって取られたデータになっています。
今回の研究における高地トレーニング手法、研究モデルは?
今回は3つのトレーニング手法に関して紹介されています。
・Living high – Training high(LHTH・高地に住み、高地でトレーニング)
・Living high – Training low(LHTL・高地に住み、低地でトレーニング)
・Living low – Training low(低地に住み、低地でトレーニング)
また標高に関しての研究では、以下の表で示されている通り、標高2000mから2500mに居住し、1000m前後の標高でトレーニングをすることが最も効率が高まるとの結果も示されておりました。

ここまで高地トレーニングに関する内容をまとめさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
「高地トレーニング」という言葉はよく耳にしますし、なんとなくでもトレーニング効率を高める効果があることは皆さんご存知かと思います。
さらにこの研究では、高地トレーニングの効果をより引き出すための内科的管理、特に貧血に関する内容に関しても言及されていました。
ここからはその内科的管理の内容についてまとめさせて頂こうと思います。
トレーニング効果を高める内科的管理
ここからはこの研究で述べられていた、内科的管理の重要性について言及していこうと思います。
フェリチンを用いた効率を高める内科的管理
今回の研究では血清フェリチンの値に注目されています。
高地環境では十分な赤血球生成を誘発するため、鉄の利用とその作用が重要であり、とりわけ貯蔵鉄である血清フェリチンは特に重要とされています。
内科的管理の重要性についてお示しさせて頂くため、そのデータを紐解いていきます。
フェリチン値の違いによる高地トレーニング前後の効率の差
実際に今回の研究で示されていた表を用いて、フェリチン値の違いによるトレーニング効率の差について考察します。

この表に関しまして、青い棒グラフが通常フェリチン群、赤いグラフが低フェリチン群となっています。
VO2maxはヘモグロビンの値に比例するとのデータもありますので、このデータは的を得ていると考えられます。また十分なフェリチンがないと、赤血球産生も制限されると考えられますので、全体を通して辻褄が合うかと思います。
ここまでフェリチンの重要性について考察させて頂きましたが、この研究の重要な、核心をつく部分はこの後の部分になります。
是非このまま読み進めて頂き、その核心部分をご理解いただきたいと思います。
この研究の肝、鉄補充の重要性に迫る!
この研究は、「フェリチンが正常であった方がトレーニング効果が高かった」ということだけでは終わっていません。
結論を先に述べてしまいますと、トレーニング開始5週間前から4週間の高地トレーニング終了まで毎日、経口鉄剤(44-264mg/日)とビタミンCを共に摂取したところ、高地トレーニングの効果が最大化したと述べられています。
さらにこの研究のとても重要な結論に関しては、そのまま引用させて頂いた方が分かりやすいと思いますので、そのまま読んで頂けたらと思います。
以下、本文をそのまま転載させて頂きます。(最初の「とは,」は無視してください。すみません。)

この研究が全てではありませんが、高地トレーニングに関わらず、強い負荷を連日かけるような合宿などを行う前などは、鉄補充を行った方がトレーニング効果が高まると考えられます。
また鉄補充、貧血に関連して、発汗と貧血の関係についてまとめたものもありますので、参考にしていただけますと幸いです。
是非内科的管理にも目を向けて頂き、トレーニング効果を最大限に高めて頂きたいと思います。
最後にまとめます
今回は高地トレーニングの重要性、またハードなトレーニング前の鉄補充の重要性についてまとめました。
普段の練習、また負荷の強い練習の効果を最大限にするためにも、是非内科的管理の大切さをご理解いただけましたら幸いです。