この記事を読んで頂いて誠にありがとうございます。
今回の記事は「アップデート・消化管コンディショニング」というテーマで書かせて頂こうと思います。
アップデート??と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、以前に一度消化管のコンディショニングについてまとめさせて頂いています。
もし宜しければ参考に読んで頂けますと幸いです。
小腸は今まで体の中でも本当に調べるのが難しい臓器でした。
しかし現在はどんどん技術の進歩に伴い、調べることができるようになっているので、新しい情報も出てきます。
今回はその中でも「小腸内細菌異常増殖症(SIBO)」という病態に注目したいと思います。
お腹の調子が悪い方だけではなく、ヨーグルトやプロバイオティクスなど、お腹にいいと言われているものを摂取しているのに不調が良くならない、便秘が良くならないなど、効いている感じがしないな、と思われている方に、是非読んで頂きたいと思います。
もくじ
SIBOとはそもそもどのような病態なのか?
SIBOについて詳しくまとめさせて頂きたいのですが、かなり複雑で、色々な要素があります。
出来るだけわかりやすくまとめさせて頂きたいと思います。
SIBO その名の通り小腸の腸内細菌の異常増殖が起きること
SIBOという病態を理解するのに最も重要なのは「腸内細菌」です。
以下の図を参照して頂きたいのですが、小腸には10の4乗から7乗個、大腸には10の12乗個の腸内細菌がいて、細菌の種類も少し異なります。
しかし10の4乗から7乗ということは極めて多数の細菌がいることがわかります。
この図のリンクの論文は、非常にわかりやすい腸内細菌の論文になっていますので、ご興味ある方は是非ご一読ください。

SIBO そもそもなぜ異常な増殖が起きるのか?
ここからはなぜ異常な増殖が起きるのかを考えてみましょう。
細菌ということは生き物です。生き物が増えるには栄養が必要ですので、異常な増殖には栄養が多すぎる、というのが一つの大きな原因となっています。
消化しづらい食べ物ってなんだ?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これを詳しくここでまとめてしまうと、とても長くなってしまいます。
申し訳ありません、これに関しては以前にまとめたものがありますので、気になる方はそちらをご一読いただけますと幸いです。
これには「FODMAP食」という概念が関係します。
少し煩雑な内容になり申し訳ありません。
ここまでを簡単にまとめますと、人それぞれ消化しやすい食べ物、消化しづらい食べ物があり、消化しづらい食べ物を摂取すると、小腸内に食べ物が停滞することとなり、それを細菌が食べることで異常増殖してしまう、そしてそれが不調の原因となる、ということです。
この異常な増殖が様々な不調の原因となり、またヨーグルトやプロバイオティクスなどが効かない、という現象を引き起こします。
この後詳しく述べさせて頂きます。
SIBO 実際の症状
SIBOは小腸内の異常な腸内細菌の増加であることをお話しさせて頂きました。
これによって起こる症状としては、以下のものが挙げられます。

腹痛、下痢、吐き気、など一般的なお腹の症状に加えて、発熱や倦怠感など全身性の症状を引き起こすこともあります。
なぜ腸の炎症なのに全身性の症状なの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これには「リーキーガット(腸漏れ)症候群」という病態が関与します。
引用ばかりで申し訳ありませんが、リーキーガット症候群に関しても、以前にまとめた記事がありますので、ご興味ある方はそちらをご一読いただけますと幸いです。
ここまでをまとめますと、消化しづらいものを摂取すると、小腸内に未消化のものが停滞し、それが腸内細菌の餌となり、過剰に腸内細菌が増加します。その腸内細菌が炎症を引き起こし、リーキーガット症候群の原因となります。そしてそれがお腹の不調に加えて全身の不調を引き起こす、ということです。
SIBO お腹の調子を整える食品が効かないのはなぜか?
さて今回の記事でご説明させて頂きたい最も重要な内容をまとめさせて頂きたいと思います。
ヨーグルトなどの乳製品、またプロバイオティクスなど、お腹のために摂取されている方もいらっしゃるかと思います。
SIBO 「お腹にいい」が逆効果な理由
実はお腹にいい食品がみんなにいい影響があるわけではない、ということがこのSIBOという病態の特徴かもしれません。
それはどうしてでしょうか?
お腹にいい食品のほとんどは、腸内細菌の餌となって、腸内細菌を増やす方向に働いたり、特にプロバイオティクスは、腸内細菌をそのまま増加させる方向に働きます。
これは治療にも関係しますが、SIBOの状態になっている時は、まず腸内細菌を減らすような治療をしなければなりません。
便秘や下痢、腹痛など、お腹の調子を改善するために様々な取り組みをされている方もいらっしゃるかもしれませんが、その取り組みが実は逆効果になっている可能性もありますので、しっかり評価を受けていただくのがいいかもしれません。

ますます、本当に適切な評価を受けたり、適切な自分の状態を把握していただく必要があると考えます。
SIBO 検査や治療法はあるのか?
SIBOの検査や治療、これは非常に煩雑です。治療に関しては便通を良くしたり、細菌を殺す抗生物質を飲んだりと、様々です。
これに関しては医師との密なコミュニケーションや状態の聴取が必要になりますので、是非一度受診をお勧めします。
またSIBOに関して本当にお勧めの本がありますので、お腹の不調でお悩みになっている方は、是非ご一読ください。
最後にまとめます
今回はお腹の不調をもたらすSIBOという病態に焦点を当てました。
一体どういう理由で不調が起きているのか非常に判断が難しいですし、ご自身で行っている取り組みが、実は悪い方向に作用していることもあります。
ですので、なるべく自己判断をされずに、受診されることをお勧めします。