本日は、「RED-S CAT」の紹介です。
「RED-S」は、アスリートにとって非常に重要な言葉で、ご存じの方も多いかと思います。
Relative Sports Deficiency in Sports( RED-S ):相対的エネルギー不足の略であり、アスリートが必要なエネルギーを摂取できていない場合に、様々な問題を引き起こしますが、その総称ともいえるかと思います。
ではそれを現場でどのように評価したり、見抜いたりしたらいいでしょうか。
そこで有用なツールが、今回ご紹介する「RED-S CAT」です。
CATはClinical Assessment Toolの略であり、「RED-S CAT」は2014年に発表された、IOC(国際オリンピック委員会)の「RED-S」に関するコンセンサスを元に作成された、アスリートの相対的エネルギー不足を評価し、適切な復帰へと導くためのものですので、アスリートにかかわる方は、その内容を知っておいて損はないかと思います。
そこで今回は「RED-S CAT」の内容についてまとめます。まだご存じない方に、知っていただければ幸いです。
ちなみに、おおもとの英文はこのURLを参照されて下さい。
そもそもRED-S CATとは?
そもそも「RED-S CAT」ってなんなの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、おおもとの文章を訳してみますと、先ほどの内容の繰り返しになりますが、「RED-Sの疑いのあるアスリート/スポーツ愛好家(意訳です)を評価し、競技復帰の決定をガイドするための臨床的評価ツール」となります。
例えばですが、「この選手最近栄養が足りてなくてパフォーマンス悪いな。休ませた方がいいんかな?」と思った時に、見てもらえるととても有用なものとなっています。
ケガであれば、整形外科のドクターやトレーナーさんなどが協力して競技復帰を目指すと思いますが、 「RED-S CAT 」は、栄養不足で何らかの症状を抱えたアスリートの方の、競技復帰までの指標となるもとの考えてもらったらいいと思います。
さて、ここからが本題で、非常に重要な内容ですので、是非ご一読ください。
具体的な「RED-S CAT」の内容について、述べていきます。
ポイントは青・黄色・赤のカテゴリーの内容をざっくり知っておくこと
「RED-S CAT」では、選手の状態に応じて、3つのカテゴリー分けをするようになっています。
・赤に該当する場合→練習をいったん中止、治療やリカバリーに全力を注ぐ
・黄に該当する場合→管理者がいて、治療プランが立っている場合には参加可。1-3か月を目安に再度評価を行う。
・青に該当する場合→全力で練習可能
となっています。
以下にそのカテゴリーについて日本語訳されたものを拝借し、掲載させて頂きます(早稲田大学のホームページより)。

このように見てみますと、どんなツールでも、中間カテゴリーは多くなりがちですが、個人的な印象としては、黄色の中でも項目別に重症度に差があるように感じます。
また、問診などで日常的に評価できる項目もありますが、骨密度や月経の評価、ホルモン分泌など、病院での評価を必要とする項目もあり、現場ですべての項目を確認するのは、少し難しいかもしれません。
ただ、体重の推移や無月経、服薬不従順など、選手とのコミュニケ―ションの中で聞ける項目もあり、バランスはとれているのではないでしょうか。
さらに「RED-S CAT」では、 練習の中止や適切な治療が行われたのち、競技復帰を検討する段階において、適切なステップを踏んで復帰を検討するよう述べられています。
ここからは、そのステップについて、まとめていきたいと思います。
「RED-S」からの復帰の過程を評価するための方法
まずは、なんとなくでもイメージが湧くように、先ほどご提示した、おおもとの英文に記載されている表を掲載させてもらいます。

英語で非常にわかりずらいので、大まかにまとめてみます!
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まずはSTEP1として、当然ながら健康状態の評価(栄養状態に加えて骨の状態やホルモンの状態も含む)を行います。
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その次にSTEP2として、競技参加の可否、復帰リスクなどを評価します。
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そしてSTEP3として、シーズン中なのか、オフなのか、周囲の環境要因なども考慮し、最終的な復帰の調整を行います。
こうやってみてみると、当然の内容かもしれませんが、非常にまとまっており、参考にすべき内容と思います。
「RED-S CAT」では、「適切な管理を行う人がいる場合」「治療計画が立っている場合」という言葉が使われている場所が複数あり、正しい知識をもった人が介入することが重要視されている印象です。
ケガからの復帰も、様々な職種が介入することが大事かと思いますが、栄養に関しても同様に考えるべきだ、ということでしょう。
最後に
今回はアスリートのコンディションに極めて重要な、相対的エネルギー不足(RED-S)のさらにその先の内容についてまとめてみました。
競技力だけではなく、引退後の生活にも重大な影響を及ぼす可能性があるエネルギー不足、RED-S CATを用いて適切に管理して頂ければと思います。