
今回は透析患者さんを対象とした「プロバイオティクスは貧血改善効果を有するのか」という内容でまとめさせて頂きます。
この記事を読んで頂くことで
①プロバイオティクスは貧血の改善効果を有するのか?
ということに加えて
②プロバイオティクスの定着と腸内細菌への影響
ということに関しても少しご理解いただけるかと思います。
日本語の原文はこちらになりますので、是非ご覧下さい。
研究デザインとその概要
今回の研究のもとになった報告があり、その報告とは「乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌によって、腸管からの鉄吸収が増加した」というものでした。
透析患者さんは便秘であることが多く、またカリウムの摂取制限があるため、野菜や果物の摂取不足に陥りがちです。
さらに透析によって、腸管の虚血に陥りやすいのではないか、とも考えられます。
そういった理由で、透析患者さんは様々な要因で健常人と比べて体調不良に陥りやすく、整腸剤が少しでも有益になるのであれば、健常人、さらにはスポーツ選手にも有益情報となるのではないかと考え、今回まとめてみました。
サクッと読んでいただけるように、要点を2つに絞ってみましたので、是非最後までご覧下さい。
要点①整腸剤で貧血は改善がみられたか
今回の研究では整腸剤としてビオスリー®が使用されました。
ビオスリーは整腸剤の中では酪酸菌配合剤に分類されます。
整腸剤についてはわかりやすいまとめを掲載しておきますので(リンクで飛んでいただければ、非常に参考になるページに飛ぶことができます。)、以下参考にされて下さい。

実際に貧血は改善したのか
今回の実験では3か月間整腸剤を内服し、その効果について検討されました。
考察としては
①今回の研究対象となった方の数(n数)が少ないこと
②ビオスリーに含まれる乳酸菌が腸内への定着が悪い可能性があること(実際に菌種によって違いがあることはすでに確認されているようです。)
と述べられています。
要点②腸内への定着は?
今回の研究での結論にも関係し、要点①でも少し触れさせて頂きましたが、もう少し詳細に書いてみようと思います。
今回4人の対象がいますが、乳酸菌に関しては以下の通りとなっていました。
症例1:内服前後を比較し、乳酸菌の割合が15%上昇
症例2、3:に内服前後を比較し、乳酸菌の増加なし
症例4:内服前後を比較し、わずかに検出あり、しかし経時的な増加なし
そもそも今回は研究対象が少なく、これに関してはあまりなんとも言い難い結果というか、月並みですが、「個人差がある」としか言えないのかな、と思いました。
まとめると
今回はタイトルを見て興味が湧き、この論文を読み始めましたが、症例数が少なく、それぞれに結果のばらつきもあることから、結論としては「整腸剤が貧血を改善する可能性がある。」という程度にとどまるのかな、という印象です。
プロバイオティクスに関しては、いい影響があることは間違いないとは思いますが、定着の部分も含め、まだまだ分からないことも多いと思います。
今後そういった内容についてもどんどん発信できればと思っています。