今回は、アスリートの方なら飲んだことがあることも多い、「ロキソニン」の怖い作用についてご紹介したいと思います。
鎮痛効果に加えて、抗炎症作用もある薬であり、非常によく使われる、とても使いやすい薬であることは間違いありません!
栄養障害の原因になるかも?というのは、なかなか知られていない作用と思いますので、この記事でしっていただければ幸いです。
それではさっそく、「ロキソニン」の怖い作用について、ご紹介していきましょう!
「ロキソニン」その概要!
「ロキソニン」といいますが、「ロキソニン」は商品の名前です。一般名は「ロキソプロフェンナトリウム水和物」といいます。
例えるならば、「コカ・コーラ」=ロキソニン、「清涼飲料水」=ロキソプロフェン水和物、ということでしょうか。
処方される薬などは、基本的にはこのように、商品の名前と一般的な名前が区別されています。
基本的には様々な痛みに使える、非常に汎用性の高い鎮痛薬であり、使われたことがある方も多いのではないでしょうか。
では、「ロキソニンの悪い作用」について、いくつか思い浮かびますか?
「胃潰瘍を起こしたり、胃腸にあまり良くない印象があります。」
そう思った方、正解です。それがとても大事なポイントです。
しかし、胃腸への悪影響を含め、アスリートへも深く影響する作用もありますので、それについて書いていきます。

「ロキソニン」胃腸への影響
「ロキソニン」といえば、胃腸の障害は、外せません!
「健常人がロキソニンを2週間続けて飲んだところ、潰瘍ができてしまった!」という研究もあり、短期の使用でも胃腸障害は起こりうるため、やはり、ロキソニンと胃腸障害は、表裏一体です。
またこれは、病院などではよく高齢の方で拝見しますが、同成分の湿布薬「ロキソニンテープ」や「ロコアテープ」といったものでも、同様の悪い作用が出ることがありますので、湿布薬を多用しているアスリートの方も注意してください。
ロキソニンの内服で起こる、胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、ご存じの方も多いと思いますが、腹痛の原因になります。
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いつもなんとなくお腹の調子が悪い。
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試合前にはいつもお腹が痛くなる。など。
ぜひ、鎮痛薬の使い方についても、再度見直してみてください。
「ロキソニン」が原因で栄養障害に?
これは、あまり知られていない「ロキソニン」の作用かもしれません。
これを知っていただけたら、知識はもちろん深まりますが、アスリートのコンディショニングについても、不調の原因の鑑別が増えるのではないでしょうか。
「ロキソニンと栄養障害ってどういうこと??」
こういった疑問を持った方もいらっしゃると思います。ぜひ、この後の記事をさっと読んでみてください。
「ロキソニン」で腸の表面が萎縮する!?
そもそも、腸の表面には「絨毛」という毛がたくさん生えていて、それにより表面積が増え、そこを消化された栄養が通ることで、吸収効率を上げています。

これは、栄養の吸収に極めて重要な「小腸」の写真です。
実にたくさんの「絨毛」が生えており、表面積を増やして吸収効率を上げていることが、なんとなくでいいいので、わかっていただけるかと思います。
では、「ロキソニン」を継続的に飲んでいると、どうなるでしょうか。

見て頂いたら分かる通り、健康な「絨毛」がなくなっています。加えて、黒い矢印は「潰瘍」です。腸が非常に傷ついている状態です。
これをさらに見やすくしてみましょう。

これは非常に重要な写真で、腸の正常な部分が青く染まる染色を施したものです!
左の写真が正常な小腸、右がロキソニンを内服していた方などに起こる状態です。
いかに、ロキソニンが腸にダメージを与えるかが、一目瞭然で分かっていただけるかと思います!
当然ですが、このように傷ついた腸では、栄養がきちんと吸収できません。
このような、栄養がきちんと吸収できない状態に対しては「吸収不良症候群」というきちんとした病変がついています。
以下の表は、「吸収不良症候群」の原因となるものをまとめたものですが、 その中にNSAIDs(=ロキソニンを含む分類のこと)が書かれています!

薬の影響で、しかも良く知られた鎮痛薬で、栄養の吸収障害が起こるなんて、非常に怖いですね!
しかし、適切に使えば非常に有効な薬であることは間違いないですので、腹痛の原因となるだけではなく、こういったことも起こり得るといったことを頭に入れて頂いて、医療者と相談しながら、適切に使用して頂きたいと思います。
また、ロキソニン以外にも、非常に大きな影響を及ぼす薬もあります。
そのことについては、別に記事でまとめていますので、参考にして頂けますと嬉しいです。
「ロキソニン」最後に
今回は、ロキソニンの悪い作用について書いてみました。
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胃潰瘍などを起こし、腹痛の原因となる。
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腸の粘膜を萎縮させ、栄養障害の原因となり得る。
これが本日のポイントです。
今までに、「鎮痛薬(ロキソニン)を飲んでいるのに、お腹が痛くなります。」という質問を受けたことがありましたが、それは本当に危ないですので、適切に使用して頂きたいと思います。
少しでもわからないことがあれば、他にもいい鎮痛薬はありますので、必ず医師に相談していただくようお願いします。