今回は、鉄の吸収に極めて重要な「ヘプシジン」について書いていきます。
「ヘプシジン??初めて聞いたな。なんやそれ。」
そういう方もいらっしゃるでしょうか。
-
鉄吸収に非常に重要な役割を果たす!
-
運動後に増加し、体に影響を与える!
-
運動後の食事からの鉄吸収効率が悪くなる可能性がある!
-
「スポーツ貧血」にも大きく関係すると言われている!
そんな「ヘプシジン」について書いていきます!

まずは「ヘプシジン」の概要!
ヘプシジンは、肝臓から作られるペプチドホルモンです。
鉄代謝の中心的役割を担っており、腸管からの鉄吸収、また血液中の鉄濃度を調整するなど、極めて重要な役割を担っています。

図を用いたほうが分かりやすいかと思います。
それ以外にも、鉄過剰の状態になれば、ヘプシジンの産生が亢進し、鉄が吸収されないようになります。
また、肝臓が悪くなり、ヘプシジンが作れなくなると、鉄の吸収を抑制するものがなくなりますので、鉄過剰状態になると言われています。
このように、鉄とヘプシジンは切ってもきれない関係なのです!
「ヘプシジン」が運動とどう関係するか?
ここからは、ヘプシジンの運動との関係について考えてみましょう。
先ほども見ていただきましたが、この図は極めて大切なので、再度提示します。
注目して頂きたいのは、肝臓の上にかかれている「炎症シグナル」という部分です。

このように、運動選手にも影響を及ぼすと考えられますので、ヘプシジンと運動、そして鉄吸収には深いつながりがあるのです。
「ヘプシジン」とスポーツ貧血
ここからは、「ヘプシジンがスポーツ貧血とどのように関係するか」みていきましょう!
「運動後に炎症が起こることでヘプシジン産生が亢進し、腸からの鉄吸収を阻害する」
ということを先ほど書かせてもらいました。
実は、運動後3時間前後で、ヘプシジンの血中濃度が最大になることが分かっています。
ということは、どういうことが予想されるでしょうか??
例えば、午前と午後、2度練習される選手も多いと思います。
練習直後の栄養補給の重要性はすでに知られている通りですので、運動後すぐに昼食や夕食をとる、という選手もいらっしゃるでしょうか。
しかし「ヘプシジンの血中濃度が最大ではないにしても、運動による炎症でヘプシジン産生が亢進している状態では、腸からの鉄吸収効率は下がりがち」と考えられます。
食事や鉄剤内服のタイミングにも注目する必要がある、ということですね!!
激しい練習の後に、最も鉄分の多い食事や鉄剤の内服をしていないかどうかなど、考慮する必要がありますし、午前、午後と2度練習がある方にとっては、朝食が唯一練習後ではない食事になると思いますので、朝食の摂取内容も極めて大切になります。
このように、ヘプシジンと鉄吸収については、アスリートととても深い関係がありますので、ぜひ、知っておいて頂きたいと思います。
最後に
今回は、肝臓から作られるペプチドホルモン、「ヘプシジン」について考えました。
鉄吸収に非常に深く関係し、それ故にアスリートとも切っても切れない極めて重要な関係があるホルモンです。
鉄剤や栄養補給にによっても改善しない貧血の原因としても知られていますので、アスリートや指導者の方にとっては、知識として、是非知っておいて頂きたいと思います。