内科外来に潜む「ドーピング」の落としあな【要注意!症例を紹介します】

   

今回は

 

「内科医とドーピング」

 

というテーマで考えます。

   

スポーツ内科の勉強を始めてから、しばらくたちますが

 

一般外来でも、ドーピングに関して質問を受けた事が何度かあります。

 

日本のトップを走るアスリートにかかわらず

 

特に、ボディビルをされている方などは、注意が必要であること

 

ボディビルをされている患者様が教えてくれました。

 

そこで、外来での経験を中心に

 

「内科医とドーピング」

 

考えていきます。

   

ドーピングについて

 

まず、ドーピングについてですが

 

スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為

 

と定義されています(JADAホームページより)。

 

しかし、注意が必要な点があり

 

「意図的に」ではなく

 

「うっかり」摂取してしまっても

 

体内から検出されれば、罪に問われてしまいます。

 

これを、「うっかりドーピング」と言います。

 

一定期間、出場停止などの処分を課されることもあり

 

競技生活に少なからず影響を及ぼします。

 

ですので、アスリートなどからドーピングについて質問があった時は

 

最新の注意を払って処方について考える必要があります。

     

ではここから、外来で注意が必要であった症例について、検討していきます。

   

内科医とドーピング 症例編

 

60歳台男性 糖尿病のボディビルダー

 

最初の症例は、60歳台の男性の方です。

 

早期退職後、週6回ジムに通う、ムキムキの元気な方でした。

 

ボディビルダーが糖尿病になるの?

 

と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが

 

糖尿病にも色々な型があります。

 

・生まれつき「インスリン」分泌が弱い方

・いわゆる「1.5型糖尿病」の方(だんだんインスリンの分泌が弱くなる)

 

など、運動や筋肉量と関係なく、糖尿病が進行してしまう方もいらっしゃいます。

 

この方も、徐々にコントロールが悪くなっており

 

内服薬だけでのコントロールが困難となってきました。

 

そこでインスリンの皮下注射を使用しようと考えていた時

 

患者さんから質問されました。

 

インスリンってドーピング大丈夫ですか??

 

この方から質問していただいたことをきっかけに

 

ドーピングについて学ぶきっかけとなりました。

 

糖尿病治療に関しては、現在新しい治療薬が多数発売されていますが

 

基本的な考え方は以下の通りです。

 

内服薬は大丈夫、インスリン(注射)は禁止

 

です。

 

よく私も使っているサイトに

 

「Grobal DRO」

 

というものがあります。

 
 

実際に、糖尿病治療薬である

 

「トラゼンタ」

 

を検索してみましょう。

 
 

こういった形で表記されます。

 

もちろん新しい薬があったり、服用タイミング、競技ごとの違いなど、

 

ドーピングは非常に複雑で、かつ選手生命にも関わる重大な問題となります。

 

基本的な知識を勉強して「この薬は大丈夫か?」と察知し

 

難しい部分は「スポーツファーマシスト」に相談する

 

それが理想的ではないでしょうか。

 

ドーピングに関して学べる会について、またスポーツファーマシストについては

 

以前の記事で書いておりますので、参考にされてください。

 
 

30歳台男性 潰瘍性大腸炎のサッカー選手

 

潰瘍性大腸炎とは

 

「慢性的に腸に炎症が起き、血便や下痢が続く、原因不明の難病」

 

です。

 

近年増加傾向にあり、20歳から30歳の方が良く発症することから

 

今後スポーツ選手も発症される方が増えてくるのではないでしょうか。

 

こういった方の処方に関してはどうしたらいいでしょうか??

 

実際に治療で使われる、ステロイド治療薬

 

「プレドニン」

 

を調べてみましょう。

 
 

実際に大会中は、「禁止」となっています。

 

こういった場合はどうすればいいでしょうか。

 

結論としては

 

治療使用特例(TUE)の申請が重要です。

 

TUEとは、禁止物質でも、事前の所定の手続きで、使用可能になるものです。

 

潰瘍性大腸炎の治療に関しては

 

寛解状態(症状がない状態)を維持することがとても大切であり

 

日頃の治療がとても重要です。

 

なぜなら、慢性的な炎症がずっとある状態では、

 

腸がだんだんダメージを受けてしまい

 

最悪の場合、大腸を全て取り除かないといけなくなってしまいます。

 

TUE申請の条件とは

 
日本アンチ・ドーピング機構 公式ホームページより
 

となっており、こういった難病の治療では

 

体を守ることも非常に大切ですので、

 

申請が通る可能性が高くなります。

 

しかし

 

「とにかく申請をして使う」

 

ことが何より大切で、申請がなければ

 

いくら正しくても違反になってしまいますので

 

注意していただきたいと思います。

 

この疾患が原因で引退に追い込まれた選手も知っています。

 

適切な治療を行なった上での、アスリート活動が何より重要です。

 

その他の症例としては?

 

その他の相談としては

 

・風邪薬に葛根湯を飲んでもいいのか?

・高濃度ビタミンCの点滴はしてもいいのか?

 

など、相談は多岐にわたります。

 

薬以外にも、サプリメントなどの相談もあることがあります。

 

 Grobal DRO以外のツールを使って調べたり

 

スポーツファーマシストの方に相談し

 

その都度お答えさせて頂いています。

   

最後に

 

内科医とドーピングに関してでしたが、いかがでしたでしょうか。

 

多様な知識を要求されることも多く、私たちでも迷ってしまうことが

 

たくさんあります。

 

・まずはドーピングに気を使うべき方か問診で確認

・処方する必要があれば、ドーピングに引っかかるのではないか察知

・自信がなければ専門家に必ず確認する

 

こういったことが重要になるのではないでしょうか。

 

アスリートの方が、不安なくアスリート活動を行えるようにするために

 

勉強を続けていきます。