この記事を読んで頂いて、誠にありがとうございます。
本日は、アレルギー性鼻炎などに対してよく使われる薬が招く、パフォーマンスの低下についてまとめたいと思います。
抗ヒスタミン薬にはもともと「眠気」の副作用があることで有名ですが、本人が自覚していない状態で、集中力や判断力、作業能力が低下することがあり、注意が必要です。
抗ヒスタミン薬によるそういった悪い作用のことを「インペアード・パフォーマンス」と言い、今回その特徴を知って頂きたいと思います。
アレルギーの代表「鼻炎」の有病率はアスリートで高い?
例えば、アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患に対して抗ヒスタミン薬が必要となりますが、まずはアスリートの鼻炎の競技別有病率を見てみましょう。
「鼻炎」の競技別有病率
競技別の鼻炎有病率として、水泳40-74%、クロスカントリー46%、陸上21-49%と、競技による違いが示唆されています。
さらに、水泳とクロスカントリーにおいては、選手では一般人よりも有意に有病率が高いとのデータも示されており、競技レベルが高いほど、研ぎ澄まされた集中力や判断力が必要となると思いますので、注意を払う必要があるかもしれません。
余談にはなりますが、水泳やクロスカントリーの選手で有病率が高い理由として、水や寒冷という鼻粘膜を刺激する競技環境に身を置く時間が一般の方よりも長いため、と推察されています。
やや前置きが長くなりましたが、ここからインペアード・パフォーマンスについてまとめますので、このまま読み進めていただけますと幸いです。
インペアード・パフォーマンス まとめ
ここから、本題に入らせて頂きます。
先ほども述べさせて頂きましたが
「本人ですら気づきにくい能力ダウン」とも言われています。
抗ヒスタミン薬を飲まないと症状が出てしまって困る、でも、知らない間にパフォーマンスが下がっているかも。。
そういう方もいらっしゃるかもしれませんので、どうやったら上手くこの薬を使うことができるのか、対策について考察します。
インペアード・パフォーマンス 避けるために
インペアード・パフォーマンスを避けるために参考となるのは、それぞれの薬に記載されている添付文書が参考になると思います。

この表を見て頂きますと、ロラタジン(クラリチン)、フェキソフェナジン(アレグラ)、デスロラタジン(デザレックス)、ビラスチン(ビラノア)の4つ薬の欄には、「記載なし」と書かれています。
これはどういう意味かと言いますと、運転など、眠気がきたら困るような仕事や行動の前に飲んでも、あまり眠気が問題になることがないので、飲んでも大丈夫だろう、ということです。
この4つの薬以外には、「従事させない」「注意」と記載されていますが、これは、薬を飲んで仕事や運転をした場合、眠気などが起きて危ないので、薬を飲んだら基本的には仕事や運転はしてはいけない、ということです。
もちろん、薬の効果や内服タイミング、薬によってそれぞれ異なります。
✔︎ 自分にはどの程度の効果がある薬が必要なのか。
✔︎ 練習や日々の生活の中で、どのタイミングで薬を飲むのが一番ベストか。
✔︎ そもそも、薬が必要なのか、他に代替案はないのか。
様々な知識が必要となりますので、少しでも疑問に思われた方は、是非、スポーツドクターの受診を考慮してください。
また、集中力の低下以外にも、薬は本当に様々な悪い作用を引き起こすこともあります。
有名な鎮痛薬「ロキソニン」の副作用についてまとめた記事もありますので、参考にして頂けますと嬉しいです。
最後に
今回は、「自分でも気づけない能力ダウン=インペアード・パフォーマンス」についてまとめてみました。
比較的多くの方が飲まれているであろう抗ヒスタミン薬。
トップアスリートの方だけではなく、セミプロの方、ハイレベル市民アスリートの方々、学生など、内服されている方の参考になれば、幸いです。
今回は以上です。