「プレッシャーのかかる試合前にはお腹が痛くなります。。」
「試合前に必ずトイレに行きたくなりますが、トイレに行ければよくなります。」
こういった相談をうけることがありますが、それは、「ストレス性の腹痛」かもしれません。
実は、アメリカの報告では、割合として半分とまではいきませんが、比較的多くのアスリートが、「過敏性腸症候群」というストレス性の腹痛や下痢に苦しんでいる、との報告もあります。
そこで今回は、一般の方にも、アスリートの方にも、ぜひ知ってもらいたい、ストレス性の腹痛、下痢の原因疾患「過敏性腸症候群」についてまとめてみます。
「過敏性腸症候群」その実態と特徴は?
「過敏性腸症候群」ですが、実は日本人のうち、約10%の方が罹っていると言われています。
10%ということは、「10人に1人の方が困っている」ということになりますね。
そう聞くと非常にありふれた病気のようですが、診断が非常に難しいのがその実態です。
このまま書き続けると、非常に長くなりますので、“POINT”にまとめてみます。
「POINT」で理解する過敏性腸症候群
意外に思われるかもしれませんが、3か月(90日間)のうち、3日程度症状があって困っていても、過敏性腸症候群の診断になる可能性があります。
さらに、過敏性腸症候群には「下痢型」「便秘型」「混合型」「分類不能型」といった分類があり、様々なお腹の症状が含まれることが、非常に大きなポイントです。
腹痛や下痢、といった症状だけでなく、「なんとなく違和感がある。」「ガスがたまって張った感じがする」といった症状の方も、十分過敏性腸症候群の診断となる可能性があります。
過敏性腸症候群に関しては、脳のストレスが直接的に腸に影響を及ぼしていること(脳腸相関といいます)や、ストレスがかかった時に発生するストレスホルモンが、腸に悪影響を及ぼしていることが、医学的に証明されています。
「気持ちが弱いから」「ストレスに弱いから」といったことではなく、「病気」である可能性をしっかり理解していただけたら、と思います。
過敏性腸症候群の特徴として、アスリートであれば、大切な試合前、例えば受験生であれば、大事な試験の前など、「こんなときに限って!」と言いたくなるような場面で症状がでてしまうことです。
また、サラリーマンの方であれば、朝の貴重な通勤時間に症状がでてしまう方も非常に多いです。
そういった場面で困らないように、普段の生活の中で、少し症状がでるようなときには、あらかじめ薬を使ってみるなど、普段から対応をとっていると、大事な時に、自分の力を発揮しやすかったり、少し生活しやすくなったりするかもしれません。
過敏性腸症候群の薬にはいくつか種類があり、また、なかなか薬物療法単独では、改善が見られない方も散見されます。
普段からお腹の症状を見慣れている医師に相談し、適切な治療を受けることが大切だと思いますので、消化器内科や胃腸科の受診をオススメしたいと思います。
「トイレに行けば改善する。」これも立派な過敏性腸症候群の特徴です。
もちろんお腹の症状がでたときにすぐトイレに行けて、症状が改善する場合にはいいかもしれません。
しかし、アスリートであれば、大事な試合前のウォーミングアップの時間だったり、試合前の集合の前の時間であったり、貴重な時間を潰してしまうこと。
サラリーマンの方であれば、通勤の際の貴重な時間、しかもトイレがすぐに見つけられない状況に追い込まれてしまうことも多々あるかと思います。
トイレにすぐにいって改善できればそれでよいですが、そうもいかない時の対応まで考えておくと、より快適に試合前や通勤の時間を過ごせるのではないでしょうか。
過敏性腸症候群 最も大切なことは?
「最も大切なこと」これは何よりも、大腸癌など、見逃してはいけない病気を見逃さないこと、に尽きると思います。
これに関しても、この症状があったら過敏性腸症候群ではないかも、と考えるべき「POINT」をまとめて見ましょう。
・明らかな「血便」が続いている。
・体重が減っている。
・食事が明らかな摂れなくなっている。
こういった症状がある場合には、過敏性腸症候群ではない可能性があるため、
必ずお医者さんへの受診が必要です。
過敏性腸症候群は、「調子は悪い日もあるけれども、基本的には通常の生活が送れている。しかし、ストレスを感じやすいかな。」といった方が多いかと思います。
とにかく、「迷ったとき、困ったときには即受診」。これは過敏性腸症候群に限らず、すべての病気に言えることかと思います。
過敏性腸症候群 最後に
今回は、過敏性腸症候群について学びました。ストレスがかかりやすい世の中ですので、お腹の症状が出やすく、困っている方も少なくないと思います。
適切な受診をして頂き、症状が改善して、試合にしっかり打ち込めたり、少しでも楽に生活できる方が増えたらうれしいと思います。
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