この記事を読んで頂いて、ありがとうございます。
今回の内容は、練習終了直後の心拍数によって、副交感神経活性が評価ができること、また翌朝の心拍数が疲労回復の目安となり、コンディショニングにも応用できる、というテーマでまとめさせて頂きます。
例えば
①運動直後に心拍数が170から120に下がり、翌朝の心拍が60のアスリート
②運動直後に心拍数が170から140に下がり、翌朝の心拍が70のアスリート
こういったアスリートをどのように評価し、コンディションに活かすか、というお話です。
ちなみに今回はこちらの論文を参考にさせて頂いています。
では、詳しくまとめさせて頂きます。
練習終了後30秒の心拍減少の考え方
練習中心拍が上昇している状態から、練習が終了した後で、当然ですが心拍数が減少するのですが、それには2つの要因が考えられます。
①練習終了に伴い、交感神経の活動が抑制された。
②練習終了に伴い、副交感神経神経の活動が活性化した
どちらが優位だと考えられるでしょうか。
実は、②が優位だと考えられています。
交感神経と副交感神経を遮断する薬を用いて評価したところ、交感神経を遮断する薬を投与した場合には心拍に影響がありませんでしたが、副交感神経を遮断する薬を用いたところ、心拍の減少にいつも以上に時間がかかった、とのデータが示されています。
ですので、練習終了後の心拍減少に関しては、副交感神経の活性化の指標となる≒疲労回復の間接的な指標となるのでは、と考えることができます。
繰り返しになりますが、ざっくりまとめますと、この心拍減少は、「運動終了後に副交感神経を活性化させるのがうまくいっているか?」と考えることができます。心拍減少はが弱いということは、疲労回復がうまくいかない、つまり疲労が残る可能性が高くなりますので、その日の練習終了後に自分の状態を把握する、非常に重要な情報になると考えられます。
練習終了後に、時計などを含めて心拍を測定できるデバイスを測定している場合には、すぐに確認することで、練習の負荷や疲労度をある程度可視化することができるようになるかもしれません。
翌朝の心拍にはどのように影響するのか?
では、練習終了後だけではなく、翌朝の心拍に関してはどう考えることができるでしょうか。
今回参考にした論文では、ランナーが対象となっていましたが、翌日の練習開始時に、4分間のテスト走を行って心拍を上げ、その後の心拍の減少度を測定するという形で、評価が行われていました。
その結果、前日の走行距離とテスト走後の心拍の減少には相関があることが分かったのです。
この心拍に関しての評価が非常に重要で、今回の論文では、研究期間にオーバートレーニングや強い疲労を感じた選手がいなかったことから、心拍減少に関与するのは、前日の練習による負荷の強さというよりは、練習後の十分な回復がしっかりできていたかどうかによる、と結論付けられています。
実際に取り入れるとしたら?
今回のこの研究から、実際にどのように心拍数を見たら良いのかを考えたいと思います。
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練習直後の心拍に関しては、しっかり副交感神経が働き、今後の回復が行われることの確認
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翌朝に関しては、少し心拍が上がる運動を取り入れた後、心拍がしっかり下がることを確認、前日の練習後のケア、また睡眠により疲労回復が十分していることをチェックして、その日の練習に取り組む。
こういった使い方が、一般的になるのではないかと思います。
ちなみに、疲労回復方法の臨床的な検討に関しては、別にまとめていますので、参考にして、できるだけ自分にあった方法を見つけて頂けますと幸いです。
最後に
今回は、練習直後、また翌朝の心拍の見方について、まとめてみました。
回復がしっかりできていることを確認し、その日の練習に取り組むことは、怪我予防にも非常に重要と考えられます。
比較的計測しやすい心拍数を用いて、しっかり体の回復について評価し、納得のいく練習に取り組んでいただければと思います。