「魚って体にいいよね!」
もはや常識的といえるこの言葉ですが、その根拠といっても過言ではない成分、それが「EPA」です。
もっとも有名な効果の一つとして「血液をサラサラにし、血管年齢を若く保つ」というのがありますが、それ以外にも、特にアスリートにとって次の図のような効果があります。

少し調べてみますと、プロ野球選手やトライアスロンの選手でも、愛用されている方がいるようです。
EPAの効果ついては、表をみていただければ、「酸素運搬能の向上」や「筋持久力の向上」など、アスリートにとってとても魅力的な、非常にたくさんの効果があることがわかります。またその他にも、EPAは赤血球膜の機能を改善することで、身体への酸素の供給を速やかにするのではないかとの報告もあります。
今回、なぜEPAの効果について調べようと思ったかというと、先日参加した「臨床スポーツ医学会」において

あるセッションを拝聴した際、次のような発表があったからです。
その内容についてまとめていきます。

一流アスリート(水泳)の運動誘発性喘息がEPAで改善
水泳は、運動誘発性喘息の発症が多い競技の一つでもありますが、学会での発表は、世界大会にも出場するような一流アスリートの話でした。
このアスリートの方の喘息の症状は、軽い方ではなく、一般的な吸入薬による治療でも少しコントロールが難しかったようです。
このアスリートの方にとっては非常に良い効果が認められました。
しかし、なぜこんなにいい効果が出たのか、疑問に思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、その効果について、考察します。
EPAの効果とは?
「なぜ喘息などに有効なのか?」それは、ざっくり述べるのであれば、炎症を抑える効果があるからです。

簡略化した図で見ると、魚などに含まれる良質な脂質を摂取すると、ω-3系の脂質が増加します。その一方で、マーガリンなどには、ω-6系の脂質が含まれており、「EPAとは反対の作用」を持っていることが、上の図からわかります。
すなわち、簡単に述べるとすれば、EPAの増加→炎症を抑える作用→喘息の改善ということになりますね。
炎症を抑えるということは?
もしかすると、察しのいい方は、こんなふうに思われるかもしれません。
「炎症を抑える」ということは、例えば筋肉の損傷や筋肉痛にも効果があるのではないか、と。
スポーツと炎症は切ってもきれない関係であり、それは肉体的な面だけではなく、内科的な疾患も同じなようです。
EPAが長距離選手の持久力に与える効果とは?
今回、EPAのことを調べていて、一番気になったのは、「EPAの摂取によって、長距離選手の持久力が向上する効果がある」という内容の論文を見つけたことでした。
先程、表をみて頂きましたが、その中でも大切なのは、AA(アラキドン酸)とEPAの比をとった「EPA/AA」という指標です。
AA(アラキドン酸)→炎症をおこす物質、EPA→炎症を静める物質であり、EPA/AAの値が大きい→炎症が起こりにくい、EPA/AAの値が小さい→炎症が起こりやすい、ということになります。
1日約700mgのEPAを摂取した、とある長距離陸上チームのデータをみてみましょう。皆さん摂取を開始してから右肩上がりに値が大きくなり、炎症が起きづらい体になっているのがわかります。(グラフの1つの色が選手1人のデータ)

さらに次のデータは、摂取開始後からの、レギュラー選手の練習での総運動距離を示したものです。

2013年から2016年にかけて、練習での走れる距離がアップしていることがわかります。
さらに、高地トレーニングをした際には、EPAの消費量自体も多くなる、ということも報告されています。いつもより強い負荷がかかり、かつ、より多くの酸素供給が必要な場では、筋肉や赤血球の働きがより活発になり、その修復などにEPAが必要になるから、なのでしょうか。
EPAが「抗炎症作用」や「赤血球膜の改善効果」をもたらしている、といった間接的な証拠、とも言えるかもしれません。
EPAの摂取は、ただ単なる持久力の向上だけではなく、身体全体のケアにも繋がると考えられます。アスリートにとって非常に良い効果をもたらすと考えられますし、特に強い負荷がかかる時期には、EPA濃度を高めておくことが、ケガ予防にも効果を発揮するかもしれません。
EPA おすすめは?
もちろん、日々の食事において、魚から摂取することも重要とは思いますが、今回は「ニッスイ SPORTS EPA」のサイトを参考にさせて頂きました。

ドーピングにも配慮されており、様々なアスリートの方も実践されているようですので、ぜひ一度試してみてください。
EPA 最後に
アスリートにおけるEPA摂取を中心に考察してみましたが、いかがだったでしょうか。
調べていくと、いろいろなアスリートも実践されているようで、試してみる価値は十分あるかと思いました。
内科疾患でも使えるEPA、ざまざまな効果があることを知っているだけで、いつか役に立つかもしれません。