スポーツと消化管コンディショニング【大腸編】

 

この記事を読んで頂いてありがとうございます。

 

これまでスポーツと消化管のコンディショニングについてまとめさせて頂いており、今回が最終章になります。

 

今回の「大腸編」以外にも「上部消化管編」「小腸編」と書かせて頂きました。

 

上部消化管編、小腸編をまだ読まれていない方はぜひ読んで頂けますと幸いです。

スポーツと上部消化管コンディショニング

2020年5月30日

スポーツと消化管コンディショニング【小腸編】

2020年6月8日
 

大腸に関しては最も便通と関わることから、腹痛などの症状に加えて、便秘や下痢といった症状で困っている選手も多く、パフォーマンスに直結する印象があります。

実際にエリートマラソンランナーを対象とした研究では、排便の状態とコンディショニングはとても関連が深い、とのデータも出ています。

そちらに関しても過去記事でまとめていますので、是非参考にしていただければ幸いです。

♯4、エリートランナーの腸コンディションと競技成績!【福岡国際やびわ湖出場ランナー対象のデータより】

2020年4月5日

それでは、スポーツと大腸の関係についてまとめていきたいと思います。

 

大腸のコンディショニング 解剖から

 

まずは簡単に大腸の解剖からです。

大腸は主に、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸にて構成されています。小腸よりも短いですが、大腸の中には数え切れないくらいの腸内細菌がいて、それらも腹部症状やコンディショニングに関わることは非常に有名です。
 

ですので、なかなか原因を特定しずらくもありますが、有名な疾患について、ここからまとめていきたいと思います。

 

切っても切れない「消化管と虚血」との戦い

 

上部消化管編、小腸編でも、虚血によってコンディション不良を引き起こす、といった話をさせて頂きました。

 

大腸も例外ではなく虚血によってダメージを受けてしまいます。

血流は人間の体にとって酸素や栄養を運ぶ極めて重要なものですので、虚血によって体に悪影響が出てしまうのは当然のことかと思います。

負荷の強すぎる運動はやはりそれなりに体にダメージを与えてしまうので、どういったことが体の中で起きているのかを知ることは非常に重要です。

 

そこでまずは虚血による大腸のコンディション不良に注目します。

 

虚血が原因で起こる腸の炎症「虚血性大腸炎」

 

虚血性腸炎はその名の通り、虚血が原因で大腸に炎症が起こる病気です。

特徴としては

●下行結腸やS状結腸など、左側の腸に起こりやすい。

●普段から便秘の人に起こりやすい。

●症状としては血便が最も多く、腹痛はそこまで強くない。

といった特徴がありますが、本来は便秘気味な高齢者の方がよく発症される病気であり、若い方が発症されることは滅多にないと思います。

 

若い人が発症することが滅多にないのになぜ、この疾患を知っていただくことが重要なのか?

そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

それにはきちんとした理由がありますので、この後解説させて頂きます。

 

実際に大腸の写真を見てみましょう。

 

それでは実際に写真を見てみましょう。これが実際の大腸の中です。

https://sugamo-ichou.com/虚血性腸炎

写真でお示ししたように虚血が原因で腸に炎症が起き、表面部分が赤く腫れてしまいます。

この炎症、つまり腫れが原因で腸内に出血が起き、便に血が混じります。そして血便を主訴として、ほとんどの方が受診されます。
 

虚血性大腸炎の治療法はあるのか?

 

治療法に関しては、ほとんどの方が重症化することがない病気ですので、経過観察のみで改善します。

まれに重症化した場合には手術が必要になることもありますが、そういった方はあまりおられません。

 

若い方にも「虚血性大腸炎」を知っておいて頂きたい理由としては?

 

ここからは先ほど述べさせて頂きました通り、「若い方には少ないのに、なぜ知っておいて頂きたいか?」という理由についてお話しさせて頂きたいと思います。

 

【理由】実は強い負荷により微小な出血が起きている可能性がある?

 

その理由に関しては、フルマラソン後の研究を引用したいと思います。

その研究に関して
ざっくりまとめますと、フルマラソン後に、便中に混じっている微小な出血を調べたところ、25%の方が陽性になったとの報告です。原因としては、走ったことによる物理的な刺激、また先ほど述べさせて頂いた、虚血による大腸の炎症が引き起こす出血などがあると考えられます。
 

これらから内科的に考察すると、慢性的にこういったことが続けば、貧血の原因となり、パフォーマンスに影響を及ぼすのではないかと考えられます。

 

もちろん普段から強い負荷をかけてトレーニングしている方々には一概に当てはまらないかもしれませんが、いずれにしても注意が必要であることは間違いないとは思います。

 

練習などで強い負荷をかけることが避けられない場面もスポーツ選手には多いかもしれませんが、こういったことが起きている可能性がある、ということを理解いただければ幸いです。

 

ストレスによる腸の不調「過敏性腸症候群」

 

続いてはストレスによる腸の不調「過敏性腸症候群」についてです。

 

ざっくりこの病気についてまとめますと「ストレスなどが原因で、腹痛や下痢、便秘など、様々なお腹の症状を引き起こす病気」と考えて頂けたらいいでしょうか。

 

以下のような症状を感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

●試合前に緊張でお腹が痛くなる。

●様々な理由でストレスを感じると下痢をしてしまう。

●よくお腹が痛くなるがトイレにいったら改善する。

このような症状は今回ご紹介する「過敏性腸症候群」症状である可能性があります。

 

ここから、ストレスが主な原因と言われているこの病気について考察してみましょう。

 

それには「脳腸相関」という言葉が非常に重要です。

 

「脳腸相関」について学んでみましょう。

 
https://calpis-kenko.jp/stress/nochosokan.html
 

脳腸相関とはその名の通り「脳と腸が非常に密接に関わっている」ということになります。

具体的には
脳がストレスを感じると、ストレス物質が腸に悪さをします。その反対に、腸に悪影響が及ぶ、例えば腸炎になったり、腸内細菌叢が乱れるような出来事が生じると、それが脳に悪さをし、そのせいでさらに腸に悪影響が及ぶ、といった流れです。

それによりストレスや緊張によって腹痛や下痢、便秘など、様々なお腹の症状が生じます。

過敏性腸症候群の具体的な診断に関しては、以下を参照ください。

 

試合の日の朝や試合前、合宿中など、お腹の調子が悪いけどトイレに行ったら治る、という相談をいただくこともあります。

 

便の調子がちょこちょこ変わるトイレに行ったら治る、キーワードですので、症状が強くて困っている方は、受診を検討しても良いかもしれません。

 

過敏性腸症候群 治療法はあるのか?

 

過敏性腸症候群の治療に関してはとても判断が難しいことが多いです。

例えば
プロバイオティクス を試したり、便秘傾向が強ければ少し便を柔らかくする薬を使ったりします。
 

さらに、過敏性腸症候群用の薬も販売されており、そういった薬を試してみるという方法もあります。

 

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: f565975a7ec7f09c5fcabb8af9bc49c4.pnghttps://amn.astellas.jp/jp/di/list/ib/index_ib-25.html

 

またそういった治療で改善しないときは、個別にいろいろな治療を試す、といった方法を考えなくてはいけません。

 

どういった治療法を選択するかに関しては、その都度医師に相談していただければと思います。

 

過敏性腸症候群に関しては、過去の記事にもまとめがありますのでよろしければ参考にされて下さい。

【ストレス性の腹痛と下痢の原因】アスリートにも起こる過敏性腸症候群まとめます

2020年1月5日

最後にまとめ

 

今回は大腸のコンディショニング不良について、まとめさせて頂きました。

 

消化管全体に言えることですが、症状が人それぞれであったり、受診するまででもないのかな、と感じたり、様々な問題があるかと思います。

 

しかし、背景には改善可能な疾患が隠れている可能性もあり、迷った時には受診を躊躇わないで頂きたいと思います。

 

今回は以上になります。ありがとうございました。