この度は、この記事を読んで頂いてありがとうございます。
今回は、前回に引き続き、採血結果についてまとめようと思います。
前回の記事をまだ読んで頂いていない方は、是非読んで頂けますと幸いです。
例えば、トレーニングによる疲労や、筋肉が傷つくとCKやLDHという項目が上昇すると言われていますが、どの程度上昇し、どの程度の期間で正常の値に戻るかというおおよその目安を知っていると、採血結果を見た時に、選手の把握がしやすいのではないかと思います。
そこで、今回の記事を読んで頂けると、運動後にどういった項目が上昇し、どの程度で下がってくるのか、ということに関して知って頂けるように書いていきますので、最後まで読んで頂けますと幸いです。
もくじ
主に筋肉の疲労を示す項目とは?
一般的に測定することのできる項目での筋疲労、すなわち、主に炎症の程度を示す項目になると思うのですが、今回は3つの項目、CK、LDH、CRPに着目します。
ちなみに今回はこちらの論文を参考にしています。
こちらの論文では、CK、LDH、CRP以外にも測定されている項目がありますので、ご興味ある方は読んでみてください。
今回の論文の研究内容はどのような内容だったか?
今回の研究の対象となったのは、アマチュアの男性サイクリスト、と記載されています(実際にどの程度のレベルであったかはわかりませんでした)。
その研究対象者に、1時間、VO2maxの85%程度のサイクリング、その後、スクワットとベンチプレスを比較的強い強度で行ったあとのデータになっています。
そして、運動前と運動後72時間は運動をせずに、3、6、12、24、48、72時間後に採血を行い、データの推移が観察されています。
では、これから具体的な内容をご紹介させて頂きたいと思います。ご紹介させて頂くデータに関しては、疲労と直結するデータですので、ぜひ、この先を読み進めて頂いて、だいたいの推移をしって頂きたいと思います。
ただし、研究や負荷レベルで異なったデータを示すことや、個人で異なることもありますので、その点はご了承いただきたいと思います。
まずはCKとLDHの推移を確認しましょう!
まず最初に、最も有名な値といっても過言ではない、CKとLDHの推移について確認してみましょう。

この数値をみて頂いてわかる通り、トレーニング後は、CKとLDHが上昇することがわかります。
すなわち、CKはトレーニング翌日も高い値となりますが、LDHに関しては、比較的正常化は早く、半日から1日で正常化してしまいます。
さらに詳細にみて頂くとわかりますが、CKは24時間経過後も非常に高い値を保っています。
つまり、個人差はあるとは思いますが、CK値だけで判断することは難しいと思いますので、LDHや、日頃のトレーニングと比較して、トレーニング内容がどうだったかなど、詳細な問診も大事になると考えます。
炎症の基本、CRPはどうだったのか?
では次に、医療現場では最も「炎症」の指標として使われる「CRP」についてみていきましょう。
最初に、今回の論文に掲載されていた図を提示します。

CRPに関しては、見て頂いたとおり、上昇していませんでした。
私自身も、CRPに関しては、軽度であっても上昇すると考えていました。
ただ、今回の論文ではCRPは上昇していませんでしたが、CRP以外にもTNF-αと呼ばれる炎症性サイトカインという物質があります。
そちらに関してはトレーニング後上昇し、おおよそ48時間程度で改善していました。
ですので、体の中で炎症が起きていることは間違いないとは思います。ただ、これはあくまで僕の考えではありますが、CKが非常に上昇している場合でも、CRPは上昇していないので、CRPは鋭敏な炎症の指標とはいえないのかもしれません。
これらのデータから考えられることは?
私なりに、今回のデータから考えると、以下の通りになるのではないかと考えられます。
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最もトレーニング強度を示すのはCK
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回復具合の指標になるのはLDH
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CRPはよっぽどの負荷がかからないと上昇しない
他の論文も参考にしていますが、やはりCKの上昇の程度、また改善までの日数は、これだけ高値を示す数値だけに、ある程度あてになる数値と考えます。
LDHは速やかな低下を示すことから、トレーニング翌日まで高値を示すのであれば、強い負荷がかかったと考えることができるのではないでしょうか。
CRPに関しては、上昇しずらい数値、と考えれば、CRPが上昇している、ということは、強い負荷がかかった、と考えることができる、と思います。
ちなみに前回の記事では、私が20㎞走った翌日の採血を公開させていただいています。
かなりつらいトレーニングになったので、おおよそ今回の記事の内容通りの推移となっていました。ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
最後に
今回は、採血データの中でも、アスリートに非常に有用なCK、LDHなどの推移について、論文を用いてご紹介させて頂きました。
トレーニングレベルなどに応じて差が生じるものではありますが、個人の疲労などについて、参考になる数値と考えられます。
採血は体内の情報を非常にたくさん示してくれるものですので、是非測定して、有効活用して頂きたいと思います。