
今回は「腸に対する亜鉛の影響と微量元素」というテーマでまとめます。
やや難しいテーマに感じられるかもしれませんが、少し簡単に書かせて頂くと次の通りです。
「なんで亜鉛のような、微量元素といわれるものがそんなに大切なのか」
実際の写真を見て頂きながら考察します(参考はこちら)。
もくじ
まずは実際の腸の写真から
まず最初に実際の写真をみて頂いた方が分かりやすいと思いますので、写真を提示します。
下の写真は実際の体内ではありませんが、腸の細胞を培養したものです。

亜鉛欠乏による構造の違いは明白
上の2つに比べて、下の二つの写真は明らかに構造が崩れているのが分かるかと思います。
白い部分が接着剤の役割を果たしており、接着剤にとても大事な成分が写真右のグラフのOccludinとZO-1と考えて頂いて良いかと思います。
亜鉛欠乏ではなく亜鉛受容体を機能不全にすると?

この写真は、先ほどの研究とは異なり、亜鉛自体を不足させたわけではなく、亜鉛の受容体を機能できなくしたものです(左が普通、右が機能不全)。
写真では、白くなっている部分が正常、黒く抜けてしまっている部分が異常と考えてください。
特にZO-1に関しては明らかに右の写真の方が減少しているのが分かって頂けるかと思います。
亜鉛だけが大切といっている訳ではない?
ここまで読んで頂いた方は亜鉛の重要性を理解頂くと共に、「亜鉛だけなのか?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう考えさせられる研究を紹介したいと思います(こちらが論文です)。
微量元素をたくさん含む海藻を摂取する研究
ここからご紹介する研究は、亜鉛単独の話からは少し脱線しますが
・亜鉛を含む微量元素の重要性
・サプリメントなどで摂取するのではなく、自然のもので摂取する重要性
についてになります。
「サプリメント」VS「天然の海藻炭末」の摂取
さて、この研究もマウスを用いて行われた研究ですが、非常に煩雑ですので、ポイントをかいつまんでまとめてみたいと思います。
今回の研究では、マウスに対して様々な組み合わせで栄養成分を食べさせ、血球の数、コレステロールの数値、糞便中の細菌の数などを確認しています。
様々な組み合わせで実験がされていますが、今回はより有益と思った内容をまとめてみます。
微量元素補充で有益な結果がでた?

突然グラフを提示してしまいましたが、非常に有益な情報ですのでしっかりまとめさせて頂きます。
これは、赤血球数の推移を表したものなのですが、各折れ線グラフの項目は以下の通りです。
(ちなみになぜ赤血球に焦点が当てられているかといいますと、微量元素にはFe(鉄)やCu(銅)など赤血球合成に関与する物質が比較的多く含まれていることから、この研究では赤血球に焦点が当てられています。)
●:完全栄養+海藻炭末(自然微量元素)
〇:コントロール(完全栄養のみ)
▲:微量元素欠乏食+海藻炭末
△:微量元素欠乏食
表をみて頂いたら分かる通り、完全栄養食にさらに海藻炭末を添加した群が、最も赤血球数が多いという結果になりました。
また微量元素を欠乏させた群でも、海藻炭末を添加すると、完全栄養と同等の効果があることが示されました。
さらに興味深い結果として。。
この研究では、栄養の指標となるAlb(アルブミン)という数値にも焦点が当てられていますが、そちらではとても興味深い結果がでました。

こちらの表ですが、●と▲は海藻炭末を投与した群、〇と△はコントロール、または微量元素欠乏群となっています。
海藻炭末を用いた方がAlbの上昇がみられており、これは、海藻炭末には肝合成を増進させるような作用がある可能性があること、または配合されているNiがマウスに対しては良い影響を及ぼした可能性があること、と考察されています。
アルブミンが体内に多い状態は、基本的には有益なことが多いと考えられ、これが海藻炭末の効果であるとするならば、なるべく自然に近いものを摂取する優位性を感じることができるのではないかと思います。
もちろんサプリメントが必要な方もいらっしゃるかと思いますが、できるだけ自然に近い状態で摂取する重要性を改めて感じさせられました。
さいごに
今回は亜鉛、またその補充についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。まだまだ奥深い内容であり、わからないこともたくさんあるのではないかと感じました。
今後も腸のことや微量元素のことについて学び、こういった形でまとめたいと思います。