スポーツ選手の内科疾患! 【2つの論文を紹介します】

 

今回は、暑い中での激しい運動が原因で発症することもある病気を含めて

 

スポーツ選手が発症するかもしれない2つの疾患について論文を読みましたので紹介します。

   

・21歳男性、サッカー選手の心筋炎

 

・マラソン後の虚血性腸炎について

 

の2つです。

   

サッカー選手の心筋炎

 

まずは、2019年の論文からです。

 

21歳のアメリカの大学でサッカーをしている男性です。

   

主訴は、間欠的な胸痛、1日続いているとのことで外来を受診されました。

 

特にプレーをしている時だけではなく

 

安静時にも耐えれない痛みを10点

痛みがない状態を0点とすると

 

8点くらいの強い胸痛があったとのことでした。

 

病院で検査が行われました。

 

心電図でも異常所見がみられ、心臓の異常があった時に上昇するCK、トロポニンという数値が上昇していました。

 

心臓エコー検査では、心臓の機能は比較的良かったため

原因を調べるために心臓MRI検査を行ったところ

 

心臓の筋肉が炎症を起こしている、つまり心筋炎になっていることがわかりました。

   

このサッカー選手の胸痛の原因は心筋炎ということでした。

   
 

心筋炎の原因はなんでしょうか??

   

心筋炎という病気は、内科医をしていても、比較的稀な疾患と思います。

 

このサッカー選手には、約1ヶ月前に診断された持病がありました。

 

それが、胃や腸に原因不明の炎症が起きてしまう

「クローン病」

という病気でした。

   

「クローン病」と診断され、約1ヶ月前から内服薬が開始となっていました。

 

消化器に炎症が起こる病気として

 

「潰瘍性大腸炎」

 

「クローン病」

 

という2つの病気が有名です。

 

そのどちらの病気でも、5-ASAという種類の薬を使用します。

 

稀ではありますが、5-ASA製剤による心筋炎

すなわち

 

薬剤性心筋炎

 

が今回の胸痛の原因となった、との診断でした。

 

教訓として

 

医療者は、はっきりと原因がわからない方を診察させて頂く際には

 

・薬が原因ではないか

・生活環境が変わってないか

・海外渡航していないか

 

など、しっかりとした問診を心がける必要がありますが

今回の論文では、その重要性を改めて感じました。

 

特にスポーツ選手の場合には

海外に遠征に出かけたり、北海道から沖縄まで、様々な場所を転々としていることも多いと考えられ

流行している疾患が異なることもあり

 

その都度現地の状況についての確認が必要なのではないかと思いました。

   

マラソン後の虚血性腸炎について

 

続いては、これからの季節、脱水とも大きく関連する疾患です。

 

2005年のアメリカからの報告です。

 

マラソンを完走されたランナーのうち、3人が同じような症状で救急を受診されました。

 

それは、血便(便に血が混じること)です。

 

題名にもある通り、診断は

「虚血性腸炎」

という疾患でした。

   

本来であれば、高齢の、便秘気味の方が発症しやすい疾患です。

 

便秘になると、腸の中の圧力が高くなります。

そのせいで血管が圧迫されることで、血液循環が悪くなります。

 

血液循環が悪くなると、もちろん腸にも栄養が来ないので、腸がダメージを受け、出血します。

 

非常に簡略に書きましたが、これが血便の原理です。

 

ランナーがなぜ虚血になったのか?

 

それがまさに、激しい運動や、長時間のマラソンなどが原因となっています。

 

とある教科書によれば、マラソンのような長時間の運動をした場合

腹部臓器の血流量が何もしていない時の80%程度になると言われています。

 

圧迫によるものではなく、血流低下が原因ということですね。

 

さらにこれからの季節、汗をたくさんかいて、脱水気味になります。

   

すると、より血流が減少してしまい、発症する危険が高くなります。

 

また、虚血だけではなく、上下運動による機械的な刺激によって

出血が誘発されるということもあるようです。

 

基本的には経過観察で治癒する疾患ですが

 

虚血があまりにもひどくなり、腸が壊死してしまったことで

 

手術になってしまった症例も見られました。

 

適切な経過観察が必要ですので、万が一長時間の運動後に血便がでた場合には

受診をオススメします!

   

まとめ

 

心筋炎については稀な疾患ですが、虚血性腸炎は

どなたでも発症しうる疾患です。

 

覚えておいて損はないと思われます。

 

特に、マラソンやトライアスロンなど、長時間の運動をされる方は

これからの季節注意されてください。