【手術で減量!?】肥満外科手術と術後変化

 
Karasu
内科とスポーツの融合を目指す「NI×CE」のページです。 この記事を読んで頂いて誠にありがとうございます。
 

今回は、あるオンライン学会に参加した際に、高度肥満の方に対して行われる減量手術のセッションがあり、非常に興味深い内容でしたので記事にしてみました。

本日の内容は
どういった手術をするのかを詳しくまとめるのではなく、術後に体に起こった変化を中心にまとめます。全身の炎症が改善したり、糖尿病が良くなったりするなど、様々なメリットがあるといわれている減量手術、最後まで読んで頂くと、肥満ではない方でも、日常の食生活に大いに活かせる内容になっていますので、是非ご一読下さい。
 

減量手術についておおまかにまとめます。

 

まず、手術には2つの方法があります。

①食べ物が通過する腸の長さを短くして消化吸収を抑制する方法

②胃を小さくして、接触量を抑制する方法

です。

ただこういった手術は
本当に、どうしても痩せることができなくて健康被害が出そうなときに行います。日本肥満症治療学会のガイドラインでは以下のように定められています。
 

「やせるためにこんな大掛かりな手術を。。」

「とても受けることはできない。」

と思った方も多いことでしょう。

 

そこで、現在では胃カメラを用いて胃の中でバルーンを膨らませ、摂食量を減らす取り組みをされている病院もあります。

イメージ映像と実際の映像をご紹介していますので、是非ご覧下さい。

ちなみにこちらのサイトを参考にさせて頂いています。

 

これなら胃内にものが常にあることで、空腹感もあまりでないことは想像にたやすいです。

ただ、胃酸が食道に逆流したり、吐き気がでたりすることもあるようです。

 

今回の学会で興味深かった内容

 

今回の学会では、ある術式、そしてそれによって起こる体の変化がとても興味深かったので、ご紹介させて頂きます。

原文は英語になるのですが、こちらをご覧ください。

 

この論文では以下のような手術が行われています。

分かりにくいかと思いますが、「胃→十二指腸→小腸」と正常ではつながるはずですが、この手術をすることで十二指腸を飛ばして、直接胃から小腸内に食べ物が流入する形になります。

この手術を行ったことによって起きた体の変化が考察されていたので、わかりやすいように簡単にまとめてみます。

 

胆汁の役割がとても重要なのか?

 

この手術が行われることによって、食べ物の通過する腸の長さが短くなるのですが、合わせて胆汁の吸収率が上昇します。

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胆汁の吸収率が上昇するというのはどういうことかといいますと、もともと胆汁は腸の中で、再吸収、再利用されるのですが、図でいうところのBPLという部分が長くなると、CCというところに到達するまでに、より多くの胆汁が吸収されることになります。

分かりにくいですが、BPLという部分は本来食べ物の通り道なのですが、手術によって食べ物が通らなくなっています。

その分、食べ物を消化するために使われなかった胆汁が再吸収される、と考えられます。

 

胆汁酸が多く再吸収される効果とは?

 

胆汁が多く吸収される効果としては、今回の研究では抗炎症効果があることが示されました。

この表の

右側の薄い色の棒グラフが今回の手術を行った群

左の棒グラフが対照群のデータ

です。

 

術後のデータが示された表ですが、炎症の物質であるTNF‐αという物質が明らかに少ないのが分かります。

 

この手術ではこれ以外にも

血糖コントロールが良くなった

脂肪肝が改善した

という効果も認められていますが、炎症の物質が低くなるというのは、体にとってとても大切なことなので、特記すべき効果と考えられます。

 

この結果から考える私見

 

さて、この結果から考えられることを私なりに考えてみます。

 

皆さんも想像通りかもしれませんが、胆汁酸は脂肪に関与するので、脂肪制限をすることによって、もちろん減量効果もあるかもしれませんが、抗炎症効果もみられる可能性があるということです。

 

一般の方にとってはアレルギー疾患の軽減、スポーツをされる方にとっては回復スピードを上げる効果もあるのではないかと感じます。

ただし
脂肪はすべての細胞の膜の形成に極めて重要ですので、極端に制限するのは逆効果です。体調と相談しながら決めていくのが良いかもしれません。
 

最後に

 

今回は現在行われることもある減量手術についてまとめてみました。

 

減量手術を行うことで、非生理的な消化活動や、消化酵素の流れになることもあり、様々な体内動態の変化が認められます。

 

今後も様々な研究が続けられ、健康にとってよいデータが蓄積されていくのでは、と思います。