新章 神様のカルテ【読んでみた】 

ようやく、ようやく読めました!

 

新章 神様のカルテ!

2019年2月に発売されました。

作者は、現役医師、夏川草介さん。

本名ではなく

         目漱石

         端康成

         枕(夏目漱石 作)

     芥川龍之

   

ということで、著名作家に由来していて、本名は明らかにされていないのは有名な話。

 

さて、今回の作品、同じ内科(特に消化器内科中心という点も同じ)医が読んだらどう感じるか、あらすじとともに、熱く、述べたいと思います!!!!

   

先に言ってしまいましたが、今作も、熱くならずには、いられませんでした!!!

 

こんなに感性豊かな、思慮深い、優しい先生、なんと言っていいか、言葉が見つかりません。

 

医師である私が読んでも、後半は何度も泣きそうになりました。

     
   

あらすじと体験【ネタバレ注意】

 

ここからはネタバレ注意。今から楽しみに読まれる方は、この先はご遠慮下さい!

   

さて、神様のカルテ3(前作)では、本庄病院から大学病院へ異動、修行の道を選んだ主人公、栗原一止。

 

その一方で私はといいますと、2年間の大学病院での修行を終え、本庄病院のような大学以外の総合病院(医療界では市中病院と言います)に移ってきました。

   

僭越ながら、私の大学病院での経験も交えつつ。。。

   

大学病院は非常に特殊なところで、皆様のイメージ通り、最先端医療を行うところですが、作品中にも述べられている通り、多くの矛盾をはらんでおります。

 

ぜひ作品を読んでいただければ、そのまま感じることができる、このことはお約束できます。最先端であるが故に、それが本当に患者さんの為になっているのかというと、???。 と言ったところでしょうか。

   

新章 神様のカルテでは、それが

①29歳にして余命数カ月の膵臓癌になってしまった女性

   

②40代の潰瘍性大腸炎の男性、のちにとても特殊な自己免疫性膵炎という病気を発症される。

 

という2人の患者さんで対比するように書かれています。

 

膵臓癌で余命少ない方を大学病院のような最先端の場所で治療するべきではないと考える集団と、栗原一止は衝突、やはり自分に大学病院は向いていない、と思い悩みます。

 

実際に治療が終了したからという理由で、転院するように言われたことのある方は多いのではないでしょうか。もちろん私たちも最後まで診療させて頂きたい気持ちは山々なのですが、作品中でも述べられている通り、多少の誤解を承知で書かせて頂きますと、入院が長引くほど、病院にとって経済的な負担が大きくなるような制度(つまりは赤字になってしまう)になっているのです。ですので、大きな病院での治療が終了したと判断した場合には、近隣の中小病院への転院をお願いされますが、それは、決して、早く転院してほしい、という事ではないことをご理解いただきたいと思います。

   

医療者の都合もあるので言い訳がましいですが、この点に関しては医療者が患者様に理解して頂きたいと思っているポイントかな、と思っています。

 

しかし、患者さんを最後まで診療させて頂きたいという気持ちがあるのは紛れもない事実です。患者様の病室に行ったときに励ましや激励のことばをいただいたりして、何気ない会話から、患者様に与えていただくことはとても多いです。

 

大学病院勤務の栗原一止ですので、残念ながらこの患者さんの最後の時に立ち会うことはできませんでした。この方にも旦那さんと7歳の娘さんがいて、患者さんだけでなく、そのご家族との触れ合いからも多くのことを学び、多くのことを与えてもらった栗原一止でした。

 

その一方で②では、ほとんど医師の間でも知られていない疾患をさらりと言い当てる指導医に驚嘆し、大学の素晴らしい一面を見せつけられた栗原一止。

 

その疾患が自己免疫性膵炎(2型)、と作品中では述べられています。

 

調べてみましたが、日本ではかなり稀なようで、日本人で発症する人はかなり少ない、ということ以外、詳しいことはあまりわかっていないようです。

 

海外に目を向け、最先端を貫くことの厳しさと、素晴らしさを、栗原一止とともに、痛感させられました。

   

同じようなことは大学にいた頃何度も経験がありまして、特に、小説内では堅物のように書かれている教授(圧倒的No.1、残念ながら近寄りがたいムードがあるのは小説でもリアルの世界でも一緒です)や准教授(No.2)、No.3やNo.4の先生のボソっと呟く一言が、全く頭にないことだったりして、やっぱりすごい先生たちだな、と感嘆の念を持つことが多々ありました。

   

加えて今回は、住居である「御嶽荘」の取り壊し問題や、同僚外科医 砂山次郎、元同僚血液内科医 進藤辰也の家庭にも、変化が起こります。御嶽荘が取り壊されたら男爵はどうなってしまうのか、進藤の家庭はどうなっていくのかなど、それぞれの人間ドラマもまたとても美しく描かれています。

   

変わらず一止を支える姫君(妻)、また新しく生まれた娘の小春、何かと手助けや尻拭いをしてくれるツンデレ上司。

   

その狭間で刻まれる自然の描写や心温まる言葉の数々。

   

ページ数は前作から40ページほど増え、410ページを超えました!

   

しかし、ちょっとした空き時間に読むことはお勧めできません(特に夜)。

   

一気に読みたい気持ちが湧いてくるのと、読み終わった後に、続編が読みたい気持ちが高ぶりすぎて気持ちを落ち着かせるのが大変です。

 
 

是非、読んで下さい。